軽井沢プリンシプル

軽井沢には12ものゴルフ場があるが、中でも屈指の名門を誇るのが「軽井沢ゴルフ倶楽部」だ。

「軽井沢ゴルフ倶楽部」エントランス、軽井沢ゴルフ倶楽部であることを示す標識はこれのみ

この倶楽部には独自の規則があって⚫︎会員同伴以外はプレーを許されない。⚫︎予約システムは無くメンバーが揃ったところで順次スタート⚫︎プロゴルファー出入り禁止⚫︎報道関係者、運転手、SP、秘書などはクラブハウス内立入り禁止。などなど日本でプレーするのが最も難しいゴルフ場だと言われている。ここはかつて2人の総理大臣がプレーを断られたと言う逸話が残されている。白洲次郎が理事長を勤めている時代の事だ。1人はどの総理かわからないがどうやらSPを同行させてプレーを始めた事を、プリンシプル(原則)に反すると白洲にSPの退場を命じられ、それに腹を立てたか又はSP無しでは不安で居られなかったのか中断して帰ったという話だ。

もう1人は田中角栄。アメリカの駐日大使をつれての訪問に「日曜日はメンバーオンリーですので、プレーはご遠慮願います」とさらりとお断り。又占領下時代、ダグラス・マッカーサーに対しても一歩も引かず「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた。

この「プリンシプル」を生涯に渡り貫いた男、白洲次郎。明治35年生まれ。兵庫県芦屋の実業家の次男。プリンシプルはイギリス、ケンブリッジ大学仕込みか。かなりのイケメンで「日本一かっこいい男」の異名がある。没後40年近く経つが、未だに雑誌などで特集が組まれる程だ。⚫︎スーツはヘンリープール⚫︎エルメスに特注したアタッシュケース⚫︎時計はロレックス・パーペチュアルデイト⚫︎車はベントレー、ブガッティなど、彼のこだわりは尋常では無い。

軽井沢ゴルフ倶楽部脇を通る。美しく整えられた林の向こう側に、ここでプレーを許されたごく一握りの人々が見える。軽井沢とは明らかにヒエラルキーの存在するところだ。ただ軽井沢に古くから別荘を持つ人々の多くは意外に質素でどこかプリンシプルがある様に思える時がある。この地がなかなか俗化して行かないのは、脈々と受け継がれている何かがありそうだ。

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