はじめの一歩

東京に住む娘から突然、連絡が来た。「Tいちがまた熱を出した。保育園を休まなくてはならないが、もうこれ以上会社休めない。母さん来てくれ。」

早速、荷物をまとめて娘の住むX駅まで行くことになった。ここまではよく聞く話だが私には一つ問題がある。生粋の長野県人である私は東京に住んだ経験が無い。つまり娘の住むアパートまで一人で行くことが出来ないのだ。(私の様な地方人には以外と多い。)

娘の住むX駅に行くには東京駅を含め3回乗り換えねばならない。とりわけ新宿駅が最大の難所。急きょ夫とその場に居合わせた次女とで対策チームが組まれる。「新宿駅乗り換えは母さんには無理だ!」私も以前、家族と共に新宿駅の構内を歩いた経験はあるがあそこはまさに伏魔殿。降りたら最後、迷宮入りしそうだ。

秋晴れの朝、軽井沢駅から新幹線に乗る。一人で乗る機会がほとんど無い私はやや落ち着かない。東京駅に着く。言われた通り新幹線改札を出てオレンジを目安に中央線のある1・2番線へ、恐る恐る乗り込む。「無事に乗れたか?次はここで‥」ひっきりなしに来る夫や娘からのLINEで景色を見る余裕も無い。K駅で下車。そこからバスに乗り換えてようやく一息ついた。見覚えのある並木道が続く。「東京は地方に比べ子供の割合が多いなあ」などと考える余裕も出た頃、程なくアパート近くの降車ボタンを押す。

バス停には、娘夫婦と共にTいちが元気に迎えに来ていた。「なーんだ、元気そうじゃないの」笑い

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