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二代目硝子の看板

お店を始めた頃は私の手作り雑貨を売るだけの小さな店であったが、ディスプレイ用に飾った漆器の皿やかんざしがお客さんの目に留まりいつの間にか半分は仕入れ物と骨董の店に。ショーケースやランプは昭和モダンで整え、レトロな雑貨や昔のビーズバッグも並ぶ。手作りも好きだが今はお店そのものを作るのが面白い。

お店作りの中でも特に気に入っているのが看板だ。気泡入りの特注硝子の看板は軽井沢の景色によく合い評判も上々。硝子越に映るなつめのロゴはいかにも涼しげで木漏れ日に照らされてきらめくところが良い。数か月前、看板の脚に錆止めを塗っていた時の事だ。ちょっと振り向いた拍子に ガッシャ―ン! スタンドが倒れ硝子が散乱。「やってまった・・」とても気に入っていた看板だけにしばらくの間は仕事も手につかず溜息ばかりが溢れる。背後で夫の呟く声がした。「俺でなくてよかった」

その後、気を取り直して新しい看板を注文。せっかくなのでデザインも一新。硝子部分は前回と同じ東御市にある硝子工房橙さんに。フレームは軽井沢長倉に工房を構える池田さん(本業は登山ガイド)にお願いして出来たものがこれ。今度は倒れないようにしっかりと固定しました。

軽井沢のちょっと変わった日常

往年のクラシックカーで颯爽と森の中を駆け抜けていく白髪のオジ様。サイドカーには奥様と思いきやゴーグルをかけた黒のラブラドールが。それがなんの違和感もない日常の光景なのですからここ軽井沢とはつくづく面白い所です。

ハイシーズンになると異常に外車の割合が高い。

もはや軽井沢のスタンダードとも言えるベンツやかっこいいフェラーリ、オシャレなアウディにカラフルなミニなど、実に様々。もしあなたが最新の外車の購入をお考えならば、この時期ツルヤ軽井沢店の駐車場を一度ご覧になる事をオススメします。

先日の事ですが、夫が帰宅するなり「オレンジのマクラーレンが近くの空き地に止まっていた」と嬉しそうに(夫はかなりの車好きてありまして)

マクラーレンをじかにに見たのは初めての様で、やや興奮気味。「マクラーレン?たしか昔アイルトン・セナが‥」程度の知識しか無い私にはいささか理解不能。

とまぁ、軽井沢とはこんな所です。

マクラーレンとはこんな車

浅間の水とその行方

ここ軽井沢周辺には小川が多い。地図には載らない小さな小川だ。湧水が多い所為だろうか小さい割にはどれも結構な水量があり透明度は高い。散歩をしていると突然池が現れたり湿地が広がっていたりする。一昨年の台風19号の後の事だが、お隣りの裏庭に新たに小川が出現して驚いた。さながらここは水をテーマにした巨大なフィールドワークエリア。

浅間山は山自体が巨大なダムになっていると聞く。山に降った雨がゆっくりと地下に浸透し再び地上に現れるまで実に6年の年月を要するそうだ。地層の隙間から地下水が湧き出す風景で有名な場所は旧軽井沢から峰の茶屋に向かう途中にある「白糸の滝」

浅間の地底深く張り巡らされた地下水脈。その中の一本 突如地層に表れたむき出しの断面。そこから吹き出す真っ白な水。

70メートルにも渡り湾曲した滝の水は冬も枯れる事が無い。水に触れると思った程冷たくない水温は浅間山の地熱が影響しているらしい。夏休み、自然を満喫しながらお子さんに浅間山の豊かな水を語るには絶好のロケーションだ。

分去れ

「わかされ」と読む 分かれ道のこと。何とも愁いのある言葉だ。 群馬から長野にかけての方言だという。

ここ追分の分去れは北国街道と中山道の分かれ道。ここから右は北陸へ、左は京都へと道は続く。旅など容易ではない時代、同じ宿を共にした者同士がこの場所で互いの旅の無事を祈って分かれて行ったのだろう。分去れの碑を見るべく一段登るとそこには凛とした馬頭観音が立つ。どこか異国風のその面立ちはマリア観音という説もありますが定かではありません。

観音様を見つめていると、美智子上皇后さまがかつて分去れを詠んだお歌を思い浮かぶ。「かの時に我がとらざりし分去れの 片への道はいづこに行きけむ」もしも違う道を歩んでいたらどんな人生であったろうと言うこの歌。誰しもこんな思いはあるものだが民間から皇室に上がった上皇后さまの思いは如何ばかりであったろうか。

時代の分去れの様な今、行先もわからぬ旅の無事を祈って静かに手を合わせる。

これも時代の流れ

「良く手洗いをして静かにお家で過ごしましょう」

そんなお家生活もだいぶ長くなりましたね。ただ時間を持て余していても仕方がないのでいろいろ新しい事にも挑戦。在庫の整理、ショップカードのリニューアル、以前から興味のあったビーズ編みに挑戦したり、などなど。良い機会なのでお店の決済もキャッシュレス対応にいたしました。現金払い大好きの私がキャッシュレス化・・・ちょっと笑っちゃいますけどね。

髪にマカロン

丸型の焼き菓子に甘いあんを挟んで食べるお菓子と言えば、かつては最中かどら焼きが定番。その後は最中アイスやサクサクのクッキーサンド。六花亭のマルセイバターサンドは見かけるとついつい食べたくなる魔法の味。でも今この形と言えばマカロンですよね。あのカラフルなコロンとした形のお菓子は、味良し見た目良しで今や手土産の定番。

そこでこんなヘアゴムを作ってみました。

シンプルな造りなのでお値段も手頃に250円(ベビー用)から400円(大人用)
マカロン型応用編 編み込みビーズタイプはこんな仕上がりに。こちらは1500円から

他にもヘアーアクセサリーは色々作っていますので、店内でご覧ください。

苔庭 まだ途中

小学生の時お小遣で松葉牡丹の種を買った。鉢に蒔いて花が咲いた時の嬉しさが忘れられず、あれからずーっと花の栽培、マイホームを持ってからはガーデニングと、私にとって庭づくりは大切な時間。

以前住んでいた所ではイングリッシュガーデンを作っていた。様々なコニファーを取り寄せ、バラを植えツゲの生垣と広い芝。一年中花が途絶えないように外来種の宿根草やハーブを植え近所でも綺麗な庭だったと思う。

が・・・ある時 ふと 一部の植物に違和感を感じた。外来種の宿根草、またはハーブと呼ばれる植物の一部に異常に繁殖するものがあった。最初は放っておいてもどんどん増えてくれて手間いらず、秋まで途絶えることの無い花々は実に重宝  でも何か変。 駆除しても駆除しても限りなく生えてくる。

7年前に軽井沢に移り住んできた。また庭が作れる事が何より嬉しかった。ここは浅間山の樹林帯の一部で様々な針葉樹や楓、シデ類が自生している。「できるだけこの土地の植物だけで庭を作ろう」自然とそう思った。幸いにも従兄弟のOさんがご自宅から軽井沢の木や山野草を沢山持ってきてくれた。丁寧に石を取り草を引いて水を撒いた。苔が自然と生えてきた。苔庭になるかな? まだ途中です。

恐竜の鳴き声

ケーン、ケーンと甲高い声。金属のパイプを通した様な異様な声が芽吹いたばかりの春の林に響く。この季節特有の声、たしか映画「ジェラシックパーク」で聴いたような... 

ほどなくそれが雉の鳴き声だと知る。「雉も鳴かずば撃たれまい」と言うが、鳴く方角を見ると必ずと言って良い程すぐそこにいる。茂みに隠れるでもなくその鮮やかで大きな体を見せつける姿はどことなく恐竜を思わせる。

雉は鶏などと同じように飛ぶのは苦手な鳥だ。体の大きさも鶏と同じくらいで動作もハッキリ言って鈍い。この季節丸々と太った体は熊やキツネなどの格好の餌になりそうだがなぜかそうでもなさそうだ。道で車に轢かれた雉の死体を見た事もない。

案外賢い、のかな? この季節、仲良くつがいで連れ立って歩く姿はなかなか微笑ましい。

大人かわいいのが出来ました

人形はこれまでもいくつか作って来ましたが、最近良い物が出来ましたのでご紹介します。

動物の編みぐるみ

編みぐるみってどこか手作り感の強いものになりがちですが、デザインを出来るだけシンプルに、また凹凸の少ないすじ編みにし、硬めの撚糸を使うことで機械で作ったようなすっきりした作品に仕上がりました。見た目は犬の様で犬でない?うさぎの様でうさぎで・・・ちょっとおデブさんがいたりノッポさんがいたりと色々なのが編みぐるみの良い所です。

お子様にはもちろんですが大人の鑑賞用にも、と言うのが私のこだわりです。棚の片隅にでも置いていただけたら幸せです。

東北へ

先日、仕入れと古民家を訪ねて東北へ

心に残った事を少しお伝えします。

岩手の旅は一ノ関から始まった。一ノ関駅から車で15分、達谷窟(たっこくのいわや)毘沙門堂。1200年の昔、この窟にこもる蝦夷を成敗したと言い伝えの残るお堂。

一枚20円の安さに惹かれてつい引いてしまったおみくじが「末吉」。書かれている内容はほとんど「凶」。すると隣に「毘沙門天の最強のお札」と書かれているではないか(笑)。千円也のお札をいただき旅はスタート。

奥州藤原氏ゆかりの中尊寺。世界遺産と名がつくと期待値が大きい分がっかりすることがしばしばあるものだが、ここは期待を裏切らない。月見坂を登りながら点在するお堂とその間に時折見られる僧院。石畳の傍らには見事な竹林と山野草が春を告げていた。

奥州市に入った所で店を構える古道具店、昭和kichiで買ったレトロな宝石箱と翌日行った角館のイオヤの雑貨。

秋田に入る。商人の町、横手市増田 内蔵の中でも最も古い佐藤家を見学する。今も人が住む350年前に建てられた蔵造りの家。漆喰の壁、渋柿を塗った梁や天井、望んでも手に入れることの出来ない最高の邸宅がそこにあった。

宿である鉛温泉に向かうため北上川を北上。車を停めて河川敷に立つ。初めて見る護岸工事がされていない一級河川。 北上川 意外なところに「今日一」があった。