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名峰は海の底から

戸隠連峰

戸隠連峰。

戸隠宝光社から鬼無里へ向かう農道から、標高2000メートル級絶壁の峰々を望む。昨夜の積雪。山肌は午後の日差しを受けて燦然と輝く。

新そばを味わうのなら戸隠。残念ながら今年も中社前の「蕎麦処うずら家」は休業中でお休みの看板。つくづくここには縁が無い様だ。またしてもお預け。中社、奥社‥は何度も訪ねていたのでこのまま帰ろうかと思ったが、ふと見つけた案内板に導かれ栃原にある戸隠地質化石文化博物館を訪れた。こちら小学校廃校を再利用した博物館で期待せずに行ってみたところ、予想外に面白かった。

3階展示室

3階は2000万年前ここが海の底であった頃の象や海洋生物の化石がわかりやすく展示。2階は地層や生態系の標本。1階はこちら柵(しがらみ)小学校の歴史。昭和の学用日から学校に長年保管されていた膨大な収蔵品の数々。

2階廊下 標本の棚

子供の頃、学校の理科室にあった人体模型やホルマリン漬けの小動物が懐かしさとともに目を引く。これだけ当時の学校用具や標本類を残してある所って珍しんじゃないかしら。「よくぞ残しておいてくれた。涙」そんな思いと共に教室から教室へと長い廊下の展示物を鑑賞する。なんとも不思議な旅になった。

1階展示室

P.S. 帰り際に学芸員で館長の田辺さんが、法螺貝を吹いて見送ってくれます。

しなの鉄道に乗ろう

「ラーメンを食べる」

ただそれだけの為にここ追分から片道6キロの道のりを中軽井沢の駅まで歩く。軽井沢に住んでいるとつい、そんな事をしてみたくなる。

古宿地区

晩秋の森は日々明るさを増す。足取りも軽く街道を行く。中山道借宿から古宿、この辺りは宿場の佇まいが残りここが軽井沢である事を忘れる景色。木立の隙間から時折見える国道は軽井沢駅方面に向かう車で大渋滞。(上田方面からアウトレットに向かうお客さんは車ではなくて、しなの鉄道を利用するのがよろしいですよ。)渋滞を横目に1時間半ほど歩いて中軽井沢に着く。駅前のラーメン店「無二」で醤油ラーメンをいただく。長い道のりもあってか至極の一杯。

中軽井沢駅(沓掛テラス)

ご馳走様の後は、帰りの電車の時間まで30分。ここ中軽井沢駅には軽井沢図書館が併設されている。この図書館がスゴイ。カフェとみまごうほどの美しい図書館なのだ。蔵書数も多く雑誌も読み放題。気がつくと電車の時刻が迫っていた。ホームで待っているとなんとも昔懐かしい電車が入って来た。佐久地域星空トレイン「晴星」とネーミングされ た115系瑠璃色の鉄製ボディー。押し上げ式の窓が懐かしい。鉄道博物館で見た車両に乗れるなんて気分は上々、しばらくの間私は「撮り鉄」に変わった。

信濃追分駅に停車中の「晴星」

ベーカリーストーリー

今や、日本中いたる所に見られるベーカリーであるが、ここ軽井沢周辺はパンの激戦区と言われ新旧様々なベーカリーが点在する。パンを食べるだけの為に軽井沢に来る客もいるらしい。ここ数年、新たに参入した店もなかなかの実力店が多く開店1時間でほぼ売り切れ、そんな小さな店を探すのもパン好きにはたまらない聖地らしい。パンについての紹介は多くのブロガーにお任せするとして、私は以前、母から聞いた浅野屋さんのお話を。

ブランジェ浅野屋 軽井沢旧道店

ブランジェ浅野屋。創業80年、旧軽銀座通りで始めたこの店は当時軽井沢に住んでいた外国人達に本場の味を提供した歴史ある店。母が聖アントニオ幼稚園で働いていた70年程前、神父様に頼まれてしばしば買い出しに出た思い出の店でもある。当時軽井沢で本格的なハード系のパンを売る店はここだけで、外国人達の朝食には欠かせないものであったらしい。現在は東京横浜を含め13店舗で展開している。先日、東京駅でお馴染みの看板を見かけ「軽井沢の浅野屋さんだわ」と購入して帰ったが後で調べて見ると元々は東京麹町の食料品店が軽井沢にパン屋として出店したのが始まりであったらしい。フルーツライが1番人気だが、角食パンも定評がある。実は私の今日の目的は、パンではなくてこちら。

メンチカツ

浅野屋さんのメンチカツは、お肉がたっぷりの本格メンチ。浅野屋さんの数々のパンの中でも私の一番のお気に入りで(これはパンでは無いな)、晩のおかずが足りない時などは時々このメンチのお世話になる。脂切れが良くてサクサクとした歯触りの衣は肉を引き立てる見事な味。さすがパン屋さんの衣。

はじめの一歩

東京に住む娘から突然、連絡が来た。「Tいちがまた熱を出した。保育園を休まなくてはならないが、もうこれ以上会社休めない。母さん来てくれ。」

早速、荷物をまとめて娘の住むX駅まで行くことになった。ここまではよく聞く話だが私には一つ問題がある。生粋の長野県人である私は東京に住んだ経験が無い。つまり娘の住むアパートまで一人で行くことが出来ないのだ。(私の様な地方人には以外と多い。)

娘の住むX駅に行くには東京駅を含め3回乗り換えねばならない。とりわけ新宿駅が最大の難所。急きょ夫とその場に居合わせた次女とで対策チームが組まれる。「新宿駅乗り換えは母さんには無理だ!」私も以前、家族と共に新宿駅の構内を歩いた経験はあるがあそこはまさに伏魔殿。降りたら最後、迷宮入りしそうだ。

秋晴れの朝、軽井沢駅から新幹線に乗る。一人で乗る機会がほとんど無い私はやや落ち着かない。東京駅に着く。言われた通り新幹線改札を出てオレンジを目安に中央線のある1・2番線へ、恐る恐る乗り込む。「無事に乗れたか?次はここで‥」ひっきりなしに来る夫や娘からのLINEで景色を見る余裕も無い。K駅で下車。そこからバスに乗り換えてようやく一息ついた。見覚えのある並木道が続く。「東京は地方に比べ子供の割合が多いなあ」などと考える余裕も出た頃、程なくアパート近くの降車ボタンを押す。

バス停には、娘夫婦と共にTいちが元気に迎えに来ていた。「なーんだ、元気そうじゃないの」笑い

門前の大倉庫

長野県立美術館で今週末まで開催の「ジブリパークとジブリ展」は想像以上の内容で大満足。上機嫌で長野駅まで2.5キロの道のりを歩いて下ることにした。途中、善光寺を抜けて参道に出る。高校時代、長野市に通っていた私がこの辺りを歩くのは実に40年ぶりの事。

八幡屋礒五郎前 

土蔵造りの店舗が立ち並ぶ、石畳みの表参道。古民家はカフェにリノベーションされ長野オリンピックを境に驚くほど美しい街並みに変わっていた。

権堂商店街

途中、アーケードが美しい権堂商店街に立ち寄る。およそ観光とは縁のなさそうな商店が並ぶレトロな街並み。見覚えのある看板が今も残っていてなんとなく嬉しかった。昭和の雰囲気が残る照明や原色の昇り旗がアーケードを飾る。ほんの数時間前にジブリ展で見た、細長い回廊や天窓が広がる大倉庫とどこか景色が重なる。不思議な気分だ。少し歩くと左にロキシーの映画館が今も昔のままの姿で営業していた。明治時代に芝居小屋からはじまった日本最古級の木造映画館は、増改築を繰り返しながらも骨組みは明治時代の姿を保っている貴重な文化財でもある。正面のチケット売り場が時代の雰囲気を感じさせる。

長野相生座・ロキシー
 阿部レコード店

こちらは阿部レコード店。学校の帰り道何度か立ち寄った思い出がある。「ふふっ、今もレコード売っているかしら」(阿部レコード店は現在は演歌を中心にカセットが充実している)

更に進むとアーケードは一旦終わり、その先にあったのは善光寺門前油問屋三河屋。築170年の建物は現役を終え現在は展示館になっていた。暖簾をくぐり丁場を抜け、台所、中庭、そして一番奥にあったのは見事な蔵。さて蔵の中には‥

蔵(油問屋三河屋庄左衛門商店)

土湯のこけしさん

福島県土湯地方に代々受け継がれるこけし。土湯系と呼ばれるこけしは、東北地方に数あるこけしの中でも特に素朴な原形をとどめていると言われる。なで肩の胴にろくろの線で描かれた着物と柔和な笑顔。現代の住宅に合わせて、ちょっと小ぶりの六寸(18.5センチ)で揃えてみました。木の香が残る新品も良いですが、30年ものになると絵の具が木地に馴染んできて独特の味わいが深まる。こうなって来るともはや土産物の域を超えて存在感を増す。

パソコンデスクの傍らにこんな古風な娘さんがいてくれるだけで心は和むだろうな。今の時代にアンティークが求められる理由です。

太眉が特徴的な大内慎二作

雪見窓

妻籠宿(南木曽町)

まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり

これは島崎藤村「初恋」冒頭の一文。相手の女性は同い年の大脇ゆう。ここ妻籠宿脇本陣「奥谷」に14歳で嫁いだ。藤村は妻籠宿本陣の四男として生まれる。ゆうは隣の造り酒屋の娘、藤村の初恋はその頃の逸話だ。一緒になる事の無かった二人であったがその親交は生涯続いたらしい。

雪見窓(脇本陣)

客間から庭を臨む障子の囲いは雪見窓。この一枚だけガラスが当時物で微妙に揺らぐ大正ガラスがあの頃の景色を映す。囲炉裏の煙に燻されて檜造りの梁や天井は見事な飴色に変わっていた。アンティーク店を営む私としては、宿場丸ごと骨董品に見えてならない。

囲炉裏端とガイドの女性(脇本陣)

おぎのやにハチロクが無い

おぎのやでハチロク(4月1日掲載)の続き話ですが‥先日気になる事が。おぎのやを訪ねた友人の話によるとハチロクは売っていなかったとの情報が寄せられた。今週、私用で高崎からの帰り道にいつもの様におぎのや横川店に立ち寄ってみた。

売り場に着く「無い!」。シルエイティやポルシェなどのミニカーは沢山残っているのだが、ハチロクの限定版は一台も無い。そのかわり藤原とうふ店ロゴ無しの普通のトレノはズラリとならんでいた。

まさか私のホームページを見て皆がこぞって買いに行った訳でもあるまいし。試しにアマゾンで「トミカ イニシャルD 86」と入力してみるとかなりの高額で販売されている。なるほどそう言う事か。始めから転売目的で買って行った人も多いのかな‥今の時代らしいよね。ちょっぴり残念な気持ちが心をよぎる。そんな私も空の売り場を見てふと「あの時もう少し買っておけばよかったかしら。」などと思っているのだから笑える。

蝶の楽園

小諸市にお住まいの昆虫写真家、海野和男さん。10年前から小諸高原美術館にて毎年開催されている写真展に行ってみました。 

今回の写真展は第1展示室ではカブト・クワガタの肖像を展示。第2展示室では「蝶・舞う2019-2021」その他20代を中心とする若い昆虫写真家の作品など盛り沢山の企画。

静かなギターの演奏が響く館内。昆虫の写真を前に談笑するご年配の方やカブト虫の写真を食い入る様に眺める夏休み中の子供達。鮮やかな夏の花とそれに負けないくらい色鮮やかな蝶達の乱舞は遠い南の島に迷い込んだ様な‥と思いきやコロナの影響でほぼ半分の写真は日本各地の島々や小諸周辺の蝶達。良く見るとアザミやフジバカマ、軽井沢にも自生している花々や見たことのある蝶やハチドリであった。海野さんが小諸市に居を構えた理由-ここは昆虫の宝庫だったんだ。夏のひと時、海野さんの楽園で癒される。

海野和男写真展は市立小諸高原美術館・白鳥映雪館にて8月21日まで開催されています。

クロちゃんにはこれがお似合い

2年前ホームページに掲載した、我が家にふらりと訪れる三毛猫のミケちゃんでありますが。夏の終わりと共に姿を現さなくなった理由は、おそらく近くの別荘宅の猫ちゃんだからでしょう。昨年は全く姿を現さなかった所を見るとコロナのせいで来訪を自粛した様だ。そのミケちゃんに代わって今年は春から新しい猫ちゃんがお目見え。黒猫のクロちゃんだ。(今回も勝手に名前をつけさせてもらいました)

餌台を狙うクロちゃん

毎朝必ず、裏庭の餌台にナッツ類をあげる夫。日中は庭の手入れにいそしむ私。クロちゃんはいつも定位置のシャクナゲの下でおそらくリスを狙っている。茂みにすっぽりと身を隠しているつもりの様だが、リスや小鳥達にはバレているから笑える。最初の頃はクロちゃんに近づくとすぐどこかへ逃げてしまったが、ほぼ毎日会っているとお互い慣れてくる。そのうち接近しても動じなくなり「やあ」っと声をかけると歩み寄って来たりする。こうなってくるとなんとなく可愛い。

クロちゃん立ち姿

クロちゃんはミケちゃんに比べると一回り大きくてややおっとりしている。おそらくリスはおろか子ネズミも取れないだろう。 そんなクロちゃんではあるがさすが別荘の猫。身のこなしはエレガントでビロードの様な真っ黒い毛並みは品がある。見ていてふと思いついた。「首に銀色に光るチョーカーを付けたらきっとお似合いだわ。」早速ビーズを編み込んでこんな感じに仕上がりました。どこにも無いビーズのキラキラチョーカー。クロちゃんにプレゼントしたらどんな顔をするかな。

ビーズ編みのチョーカー

M 2800円〜 L 3300円〜 

使用するビーズ等によって値段が異なります。