ideno のすべての投稿

紙の宝石

書斎に飾る小さな絵がほしくて、版画だったらお手頃だろうと検索していた所、名刺サイズ程の小さな版画を見つけた。

蔵書票(Ex libris)左から飯田信一、宮下登喜夫、前田政雄

EX.LIVLIS (蔵書)と書かれている。小さいながらもそこにはデザイン化された動植物や景色などとともに、岡崎蔵書とか帰山文庫とか書かれていて誰かの持ち物札の様にも見えるが‥これ見ているとなかなかに面白い。

作者Luc de Jaegher 票主川上澄生
古い蔵書票はどことなく男性的で書斎にピッタリ。

この美しい紙片、国際的にはエクスリブリスと呼ばれ、古くは15世紀のドイツで誕生。本の見返しに貼って誰のものかを示すものです。本が極めて貴重だった時代に本を所有している事を誇示する目的でも貼られたようだ。日本には明治33年に紹介されてから広まる。画家、版画家によって版画仕立ての蔵書票が製作され、人々がこぞってオリジナルタグを芸術家に依頼した。

別名「紙の宝石」と呼ばれるこの蔵書票、小さいながらもれっきとした版画。お値段は数百円からで年代物はそこそこ良いお値段のもあるが買えない程でもない。切手よりは圧倒的に流通は少ないのでコレクションにしても面白いかも。

モダンなデザインのものはオシャレですよね。プレゼントに

軽井沢プリンシプル

軽井沢には12ものゴルフ場があるが、中でも屈指の名門を誇るのが「軽井沢ゴルフ倶楽部」だ。

「軽井沢ゴルフ倶楽部」エントランス、軽井沢ゴルフ倶楽部であることを示す標識はこれのみ

この倶楽部には独自の規則があって⚫︎会員同伴以外はプレーを許されない。⚫︎予約システムは無くメンバーが揃ったところで順次スタート⚫︎プロゴルファー出入り禁止⚫︎報道関係者、運転手、SP、秘書などはクラブハウス内立入り禁止。などなど日本でプレーするのが最も難しいゴルフ場だと言われている。ここはかつて2人の総理大臣がプレーを断られたと言う逸話が残されている。白洲次郎が理事長を勤めている時代の事だ。1人はどの総理かわからないがどうやらSPを同行させてプレーを始めた事を、プリンシプル(原則)に反すると白洲にSPの退場を命じられ、それに腹を立てたか又はSP無しでは不安で居られなかったのか中断して帰ったという話だ。

もう1人は田中角栄。アメリカの駐日大使をつれての訪問に「日曜日はメンバーオンリーですので、プレーはご遠慮願います」とさらりとお断り。又占領下時代、ダグラス・マッカーサーに対しても一歩も引かず「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた。

この「プリンシプル」を生涯に渡り貫いた男、白洲次郎。明治35年生まれ。兵庫県芦屋の実業家の次男。プリンシプルはイギリス、ケンブリッジ大学仕込みか。かなりのイケメンで「日本一かっこいい男」の異名がある。没後40年近く経つが、未だに雑誌などで特集が組まれる程だ。⚫︎スーツはヘンリープール⚫︎エルメスに特注したアタッシュケース⚫︎時計はロレックス・パーペチュアルデイト⚫︎車はベントレー、ブガッティなど、彼のこだわりは尋常では無い。

軽井沢ゴルフ倶楽部脇を通る。美しく整えられた林の向こう側に、ここでプレーを許されたごく一握りの人々が見える。軽井沢とは明らかにヒエラルキーの存在するところだ。ただ軽井沢に古くから別荘を持つ人々の多くは意外に質素でどこかプリンシプルがある様に思える時がある。この地がなかなか俗化して行かないのは、脈々と受け継がれている何かがありそうだ。

白蝶貝、孔雀貝、高瀬貝‥

どこかで聞いた事あるでしょ。みんな美しい貝殻の名前です。日本には大昔から貝殻を装身具にして身につける習慣がありました。美しい光沢と二つとない模様は今も高級ボタンやアクセサリーには欠かせないパーツ。シェルアクセサリーは真珠ほどの高級感はないのですが、普段使いには丁度良いところが貝殻の魅力です。

孔雀貝、イタヤ貝、白蝶貝、珊瑚(珊瑚は貝殻ではありません)などのレトロな装飾品

こんな感じのアクセサリー。昔お母さんの鏡台の引き出しに入っていましたよね。今じゃほとんど見かけなくなりましたけど。結婚式や高級レストランに付けるには向かないかもしれませんが、ちょっとしたお出かけには最適。着物に合わせてもいいかも。

なつめクラフトは昭和のシェルアクセサリーがいっぱい。貝ボタンも揃っていますよ。

貝ボタン(ヨーグルト瓶や牛乳瓶に入れて陳列してあります)

石神さん

鳥羽と志摩を結ぶパールロード

伊勢神宮から車で40分。伊勢から鳥羽に入る。緩やかなリアス海岸の入江や島々は朝の日差しを受けてキラキラと輝く。太平洋からの暖かい風が原生林の森を育て、ここに豊かな漁場をもたらす。ここは真珠の養殖と海女さんで有名な場所。海女の町相差(おうさつ)に入る。海を望む丘にひっそりと佇む家や民宿。海辺の漁村とは一味違った日差しも人もあったかい所だ。坂道を登っ先になんとも愛らしい神社があった。

神明神社参道

鳥羽三神の一つ、神明神社。ここは命懸けで潜る海女さんから「石神さん」と呼ばれ親しまれている所。「この石神さん、どうやら女性の願いを一つだけ叶えてくれるらしい。」

神明神社本殿(ご祭神は天照大御神)
本殿横に祭られた石神さん(ご祭神は玉依姫命)

叶えてくれると約束されると、悲しいかな何を願えば良いのか悩んでしまう。

家族も多い、将来の不安もある。週替わりで心配事は起きるし、病気や怪我。親族全員の幸福を願ったら「一つじゃ無いだろ」と無効にされるか?いや今は何はさておき世界平和を祈るべきなのか。

宝くじを買って、一等が当たったらどうしようと悩んでいるのに近い気がしてきた。

で実際何とお願いしたか、それは‥

参道脇の家の前に置かれたドーマン・セーマン (格子柄のドーマン、星型のセーマンは海女さんの魔除けと安全祈願の印)

本年の営業を始めます

軽井沢にもようやく、遅い春の気配を感じる季節が巡って来ました。3月11日(土曜日)から本年度の営業を始めます。御影用水温水路に掛かる橋の工事も終了し、佐久方面からのご来店もスムーズになりました。春物新作バック、エプロンや小物等、多数取り揃えて皆様のご来店をお待ちしております。

尖石縄文の物語

八ヶ岳連峰

茅野市。雄大な八ヶ岳を臨む美しい里。

以前この近くに住んでいた私は、ここでその頃の友人との再会を果たす。その帰り道、八ヶ岳山麓白樺湖方面へ帰路の途中「尖石縄文考古館」の案内がチラッと見えた。確かここには二つの国宝がある。

縄文のビーナス
仮面のビーナス

実に存在感のある二体の像。一つは子供を宿した裸体。もう一つは仮面と美しい装飾の衣装を纏った正真正銘本物の縄文女性。

別の部屋には沢山の土器が展示されていた。煮炊き用の土器の他に複雑な装飾の儀式用の土器を沢山見る事が出来る。その中で私の目を引いたのがこの人面土器。宗教儀式に使われた道具のようだ。上部と下部に人面のついた土器の中に火を灯すとまるで全身が炎に包まれた出産の光景の様にも見えてくる。

顔面把手付土器

古事記の一場面にイザナミノミコトは火の神カグズチを産んだ時、全身炎に包まれた。それが原因で亡くなってしまう。その後黄泉の国へ‥「そんな物語がもしかしたら縄文時代から語られていたかもしれない」そんな学説を以前読んだことを思い出した。

2000点以上の展示品が充実しているとても見応えのある考古館。いつの日か再び訪れてみたい所。

洗練された深鉢型土器

新幹線がもたらしたもの

1991年6月15日。冬季長野オリンピック招致決定のニュースが飛びこむ。この決定がその後の長野県の運命を大きく変えた。

長野オリンピックのカーリング期間中燃え続けた聖火台 ~ 風越公園

1972年頃からスタートした北陸新幹線の前身である長野新幹線の導入計画。碓氷峠の急勾配の問題等紆余曲折を経て10年後ようやく東京⇄軽井沢間はフルモデル規格の新幹線、そこから先は在来線を利用したミニ新幹線の導入が決定した。ここに至るまでも相当なごたごたがあり(割愛)JRの経営不振もあってなかなか進まない新幹線計画であったが、そこに舞い込んだオリンピックの招致獲得で一挙に方針は転換。全線フルモデル規格に変わり国家予算も導入され計画は一気に遂行される。

北陸新幹線あさま ~ 佐久平駅

当時、鉄道沿線から大きく離れた地域に住んでいた私達は、その後の新幹線沿線の目覚ましい発展を20年に渡り遠くから目にする事になる。仕事の関係もありその後軽井沢へと住まいを移した理由は、豊かな自然に加えて首都圏に直結している事の重要性を痛感していたからだ。

佐久平駅 蓼科口

現在、北陸新幹線の導入により軽井沢はもちろん、首都圏と大動脈で結ばれた長野市は地域の中核都市として見事な変貌をとげています。又新幹線駅を新たに獲得した佐久市についてもその後の発展は言うまでもありません。

住みたい地方ランキングの常に上位にいる長野県は、その美しい自然の他にこういった背景もあるのでしょうね。

にゃんとも寒い冬

餌台に来たアカゲラと日本リス

大寒の頃から強烈な寒波到来。寒さに慣れている軽井沢でもマイナス13度予想は厳戒態勢。近年軽井沢への移住者が格段に増えているが、寒いを通り越して痛い程の寒さに耐えきれずに、ここを出る決断をする人も少なからずいると聞きます。札幌よりも平均気温が寒い軽井沢に住むには覚悟だけではダメ。それなりに高断熱の家と寒冷地に適した暖房器具が必要不可欠な所です。

クロちゃん

こんな極寒の林の中を黒い塊が横切る。「クロちゃんだわ」今年はこの地で越冬しているんだ。お気に入りのシャクナゲ、冬は葉が縮み見る影もなく近くの餌台の下でうずくまる。昨年から時々見かける虎猫のトラちゃん(こちらの名前も勝手につけさせてもらいました)。仲良く連れ立っている姿も時々見かける。「あいつらは寒く無いのか?毛皮をまとっているから平気なのかな」かく言う私も今年の冬は室内でもダウンのパンツとベストを着用。

このトラちゃんだがちょっと素行に問題があるらしく、ご近所の庭先にトラちゃんの指名手配が出ていた事も‥。なにやらあちこちの屋敷に忍び込み、雉鳩を採ったり水槽の魚を拝借するなど悪事の数々。「へーそんな事出来るんだ。すごいやん」などと言ったら怒られるか。

トラちゃん Wanted

室内から窓越しに見る野生動物達やご近所の飼い猫。どちらも適度な距離感でのお付き合いがよろしい様です。

新年はボサノバから

1月7日 土曜日 16時 気温1度。久しぶりのコンサートに向かう。コロナ生活も3年余り経ち、ようやく生で音楽を聴ける環境になった。本日の主役は「小野リサ」お店でも時々かけているボサノバの定番。

大賀ホール

谷ヶ崎にある大賀ホールは、立木に囲まれた軽井沢らしい佇まい。ソニーの名誉会長である大賀典雄氏によって寄贈された客席数784のこじんまりとした建物。五角形の形状はホール内どこの席にも音が均一に届く様にと言う大賀氏の意向を反映したものだ。小規模な会場を生かして、クラシックやジャズ、懐かしのJ-POPなどのコンサートが年間を通して催される。

谷ヶ崎池を望むロビーでドリンクを一杯。冷え切った体を温めてから座席に着く。見上げると立ち見席も含めほぼ満席。演奏会独特のざわめきの後、舞台はオレンジ色に包まれ遠いイパネマの夕暮れへと誘う。始まりはフルートとピアノの調べから。艶やかな群青色の衣装を纏った往年の女神、その静かな歌い出しはいつものあの声だった。今年も穏やかな一年である事を願うかの様に。

今年もありがとうございました

なつめクラフトは12月26日を以て今年度の営業を終了し冬のお休みに入ります。皆様のご来店・ご愛顧に厚く感謝申し上げます。

来年度は3月中旬の営業開始を予定しています。詳細が決まりましたら本ホームページでご案内いたします。

皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。