ぶらっと犬神家

諏訪地域は諏訪湖と諏訪大社で有名な温泉地。ここに以前から気になっている温泉施設がある。

片倉館

昭和3年に建てられたこの洋館が「千人風呂」の名で有名な片倉館。建てたのは片倉佐一(二代目片倉兼太郎)。シルクエンペラーと呼ばれた片倉財閥を作った男だ。1873年父親の市助が諏訪市で10人取りの座繰り製糸を始めた事をきっかに、1917年佐一の代には朝鮮も含めて62ヶ所の製糸工場へと発展させ日本最大級の製糸企業に発展、巨万の富を得た。

階段にある佐一の肖像画

ところで、映画「犬神家の一族」のモデルとなった人物がこの片倉佐一であるという事、ご存知でしょうか。犬神佐兵衛−片倉佐一。「佐」の字の共通点でピンと来た方もいるでしょう。

片倉佐一が没したのは1934年。図らずも同年、作家横溝正史はここ諏訪の地で肺結核の療養を開始したのがこの年。物語の原型となるさまざまな噂話が横溝の耳にもはいっていただろうことは推測できる。

券売所

館内に入る。券売所、ロビーと約100年前の貴重な文化財が今も現役で市民に解放されている。浴場は天井が高くステンドグラスを眺めながらの入浴はどこか教会の礼拝堂のような佇まい。深さ1メートルほどのプールの様なスタイルの浴槽に立ったまま浸かる。2階にはカフェの様なモダンな休憩所もあり年代物の蓄音機、諏訪湖を一望できるバルコニーなど庶民に娯楽や憩いの場を提供しようとした佐一の思いが感じられた。

井出野屋旅館

片倉館を後に帰りぎわに寄ったのが中山道望月宿。目的はここ井出野屋旅館。犬神家の一族で金田一耕助が泊まった那須ホテルのロケに使われました。

大正時代の面影を残す小さな旅館。高級宿にはない素朴な雰囲気が金田一耕助のイメージに重なる、そんな宿です。(現在旅館業は閉業)こちらへは軽井沢追分から車で30分ほどで行かれます。

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