和ばさみのはなし その三

今回は裁ち鋏についてのお話です。

U字型のにぎりばさみに対してローマをルーツとするX型はさみは正倉院の御物の中に見られる所から8世紀には日本に入っていたと思われます。X字型のはさみはてこの原理を利用し力のかかる仕事、主に生け花や植木ばさみ、下駄屋ばさみなどの分野でその力を発揮する事となります。

喜多川歌麿

江戸時代になり欧米からラシャ(注)が大量に輸入されました。吉田弥十郎という刀鍛冶が現在の裁ちばさみを作り上げたと言われています。繊細なにぎりばさみ、力の入れやすい裁ちばさみ、それぞれの用途に応じて進化していったわけですから日本人の道具に対するこだわりや追及心は実にすごいですね。

(注)ラシャ(羅紗)とは、紡毛を密に織り表面をフェルト状にした厚手の毛織物。陣羽織、火事羽織、のちに軍服やコートなどに使われた。

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